2020.05.25
りったん通信 special edition -11-
「助けて」って言えますか?
突然ですが、みなさんは、「助けて」って言えますか?
実はこんな問いかけをしている私自身、それほど得意な方ではありません。むしろ下手かもしれません。
なぜ下手なのかと考えた時、「人のためになることをしなさい。」「人に迷惑をかけてはいけない」などと教えられてきたことを思い出します。
いつのまにか、私の中で、
「人のためになることをしなければならない」
「人に迷惑をかけることはよくない」などと強く思い込むようになってしまっていたのだと気づかされます。みなさんのなかにも私と同じような気持ちがありませんか?
ところで、「受援力」(じゅえんりょく)ということばをご存知でしょうか?
この言葉の意味は、助けを求めたり助けを受けたりする心構えやスキルのことなのです。
内閣府が、災害後に防災ボランティアの支援を生かすため、被災地側がボランティアの支援を受け入れ、上手に寄り添うことができるように、と2010年につくったパンフレット(*1)に用いられた言葉で、東日本大震災をきっかけに少しずつ知られるようになりました。
産婦人科医で、医学博士の吉田穂波先生は被災地支援をした医師として、4女1男の母としての経験から「受援力」を広めたいと強く感じ「受援力ノススメ」というリーフレット(※2)を作成したとのことです。
このリーフレットには「どんな時代でも助けたくなる人になる10の法則」が書かれていますので一部ご紹介します。
- 出来る限り丁寧で綺麗な言葉で(相手への敬意)
- 笑顔で頼む(助けてもらうことは悪いことではないので)
- 最初から「ありがとうございます」と言う(相手の助けたいという思いが強まる)
- 頼みごとをまず先に(最初は、言い訳や困った状況等の説明はいらない。「~してください。」)
- 「すみません」ではなく「助かります」(相手も自分も自己価値が高まります)
- 感謝の言葉のボキャブラリーや、追加文を増やす(私(I)を主語にしたメッセージ「私は~を~してくれて本当に助かりました」)
- 会えて嬉しい気持ちを伝える(頼る頼らないに関わらずとにかく会えて嬉しい気持ちを伝える)
- 相手の話も聞く、相手もねぎらう(相手の状況についてもきちんと聞きねぎらう)
- 何でもない時から、相手への承認、ねぎらい、信頼の気持ちを伝える(家族、友人、同僚に、日々の生活のなかで。)
- 断られた時は「フィードバック」と考える( 断れれた時、良い方向に代わるためのメッセージと受け取る。まずは「ありがとうございます」を)
*( )内は前嶋が一部改変。
さて、いくつ実践できているでしょうか?
また、いくつ実践できそうでしょうか?
新型コロナウィルス感染症の影響で、社会全体が頑張ることを求められてきました。
本学の学生(日本の多くの学生は同様かと思います)は、これまでにないインターネット環境下での新しい教育を、とまどいや不安を抱えながらスタートさせました。「このような情勢なので仕方がない」、「頑張らなくては」といつも以上に頑張ってくれているのではないでしょうか?また、教職員もそれを支えるべく日夜休みなくサポートしてくれています。
しかし、これらを続けていくのは限界があります。
いままさに、日本において、頑張っている人が頑張っていない(ようにみえる)人、あるいは頑張れない人を批判する最悪の状況が一部で出てきている状況もあります。
いまこそ「助けてよ」と言える力が何よりも大切なように感じます。(私含め…)
「人から助けてもらう経験」を重ねることで、助ける余裕(力)が生まれてもきます。また、人を信頼する力も生まれます。さらには、助けてもらえるほど自分は大切にされる存在と思え、頑張る力につながります。頑張る力の一つに「助ける力」があります。
吉田先生の「どんな時代でも助けたくなる人になる10の法則」では助けてもらう側だけでなく、助ける側も、気持ちよく協力できるヒントが隠されているように感じます。
できることから一つ一つ、私を含めみなさんで実践していきませんか?
*1内閣府パンフレット「地域の『受援力』を高めるために」
(https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201101/2.html)
*2吉田穂波先生ホームページ
(https://honami-yoshida.jimdofree.com/)
『受援力について』―受援力ノススメ リーフレット
幼児教育専攻
教員 前嶋 元
現代コミュニケーション学科(100名/共学)
〇現代コミュニケーション専攻
心理コース/ビジネスコース/観光コース
〇幼児教育専攻
※2年間で保育士資格と幼稚園教諭2種免許の
ダブル取得が可能です。
※児童厚生2級指導員の資格も取得可能です。
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