幼教専攻ブログ

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幼児教育

2024.06.18

「お散歩」報告 その3 園長先生の授業から学んだこと


「子どもと関わった経験」を「保育者としての歩み」につなげる
 

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6月 7日、発達心理学Ⅰの授業に、東京立正保育園の西貴子園長先生を授業者としてゲストにお迎えしました。

この授業は、東京立正保育園4歳児・5歳児と「お散歩」で交流し(5/24)、「お散歩」の経験を振り返り子どもの発達への理解を深めたグループワーク(5/31)に続くものです。

保育園児との「お散歩」という経験を振り返り、保育者の視点から学生の疑問に答え、考えを深めました。

 

授業前の準備

  • 園長先生に、お散歩についての学生のレポート、グループワークの内容をお伝えしました。
  • 園長先生は、東京立正保育園に勤めている先生方に「保育をしていて楽しいと思う事」「学生時代にもっと学んでおけば良かった事」「学生へのメッセージ」などを尋ねたアンケート結果をお持ちくださいました。これは、「先輩保育者」からのメッセージとしてまとめ、後日学生に伝えることになりました。

 

授業の内容

1.「初めまして」 園長先生と学生がお互いに自己紹介

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はじめに、園長先生から自己紹介されました。
杉並区の公立保育園に勤務され、発達の遅れが気になる子どもについて関心を持たれました。その後、杉並区立こども発達センターで勤務され、乳幼児の親子への発達支援に携わりました。東京立正保育園に園長として着任される前は、民間の療育施設で乳幼児や保護者と関わってこられました。

つづいて、学生一人ひとりが自己紹介しました。

授業が始まると、園長先生はまるで子どもたちに接するように優しく話され、学生たちも自然と引き込まれていき、楽しんでいる様子が伝わってきました。

 

2.「保育者」について考える  資料(2つの詩)

2編の詩をもとに、「保育」「保育者」について、改めて考える機会となりました。

古谷道明さんの詩-「相手」を子どもや保護者に置き換えて読む

→ 保育者がどのような存在であるか、子ども・保護者から感じとることが大切

  石井桃子さんの詩 ことばの持つ力を信じ、日本における子どもの本の礎を築いた人

→ 子ども時代は、人の一生を支えるの重要なもの

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学生のレポートに、「先生のおっしゃっていた『子どもの心の扉』といワードがとても印象に残りました。相手の立場になって、何を子どもが必要としているのかを見極め、子どもの心の扉を開いてあげられるように頑張っていきたいです」とあり、園長先生の授業を通して、「保育者観」がしっかり伝わっていました。

 

3.まずは「手遊び」を経験

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園長先生は、いくつかの「手遊び」「ふれあい遊び」のプリントを用意してくれました。「手遊びはいくつ知ってる?」と聞かれ、まだ学生たちのレパートリーが少ないことがわかりました。そこで、園長先生は、学生を子どもに見立てて、プリントの「手遊び」歌を次々と歌いながらやってくれました。

学生たちは、まるで保育園の子どものたちのように、手遊び、わらべ歌、ふれあい遊びなどを、心から楽しみました。

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園長先生の「誰か、やってみない?」に、Sさんが手を挙げ、みんなを子どもに見立てて実演しました。

園長先生も側で見守りながら一緒に手遊び。ぶっつけ本番なのに、身体の角度も揃っていて、2人の息はぴったり。みんなも楽しく参加しました。

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「手遊び」だけでなく、乳児には「ふれあい遊び」や「わらべ歌」があります。お人形さんにふれあいながら、プリントの「ふれあい遊び」や「わらべ歌」をやってみせてくれました。

園長先生は保育園や療育施設で、お母さんたちに「手遊び」「ふれあい遊び」を通して「子どもと関わることの大切さ」を伝えてきました。子どもだけでなく、保護者に「保育に関する指導」をすることが保育者の役割(業務)です。このことは、保育所保育指針にも書かれています。

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4.“わからないことだらけ”の学生の疑問に応える

子どもたちとお散歩して楽しかったけれど、子どもから話しかけられて「どうしたらいいか、わからないことだらけだった」という学生が多く、園長先生に聞きたいこととして「子どもとの関わり方」(主に2つ)が挙げられていました。

  • 子どもの言葉や行動の意味
    「なぜ**と言ったのか」「大人(学生・保育者)にどうしてほしかったのか」など
  • 子どもに「どのようなとき、どうすることが望ましいのか」という考え方の原則

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学生は、お散歩のときの状況や自分の困惑した気持ちを話し、園長先生は「わからないこと、聞きたいことが何か」を汲みとって、学生にわかる言葉で丁寧に教えてくれました。まるで、「保育者が子どもと関わるように」学生と関わってくれました。「お散歩」で困った経験を、子どもとの関わる際の原則につなげることができ、ホッとしたような表情の学生が多くみられました。改めて、「保育者になりたい」「これから頑張ろう」という意欲を感じたようです。

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授業後の学生のレポートを紹介

保育者も、「自分らしさ」も大切に

  • 保育者として正しい行動を考えていたら、どうするのが正解かわからなくて何もできなかったけど、園長先生の子どもと成長するのが大切という話しを聞いて、もっと素直に子どもと接してみようと思いました。
  • 保育者が子どもと関わるとき、自分が思っていたよりも素直な自分で関わっていいのだと思った。

子どもに困ったことを言われたら

  • 私は虫について気になっていて、この前のお散歩のときに5歳児さんと虫探しをした際に、私は虫が苦手なので遠くから見守っていて、「虫触ってよ」と言われたときにどう答えるか迷ってしまって、嫌だーなどとマイナス発言しまったが、そのときはしっかり苦手だということを伝えるのでも良いということを知りました。
  • (子どもから)むちゃぶりなどをされたら、「いや~先生できないな~」などと素直に言い、子どもを肯定してあげたいと思いました。

保育者について理解が深まったこと

  • 私たちがわからないことを質問すると、わかりやすく丁寧にアドバイスしてくれた。子どもに聞かれたとしても、嫌いなことは素直に伝えることも大切だとわかった。
  • 先生が園児のためにいろいろな努力をしている(対応を考えている)ということがわかった。

 

5.授業を終えて  おまけのお楽しみ

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授業の最後に、「あやとり」を楽しみました。

「一人あやとり」や「ほうき」、何人かで交互に取り合うなど、子どもの頃の記憶をたどりながら、懐かしく楽しみました。

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途中で、「あれ?どうやるんだっけ?」の声も多く、園長先生から直接教わった学生も。
とても真剣な表情で取りくんでいました。

 

子どもとコミュニケーションするための「手作り教材」

手遊びのための小道具、手作り絵本、紙芝居、乳児向けの布絵本やおもちゃ、エプロンシアター、パネルシアター、などなど、子どもと関わるための保育教材(ネタ)は多くあります。

ベテランの先生は、何もなくても即興でも、子どもとコミュニケーションできますが、実習生や新人のうちは、そうもいきません。何かしらのネタを用意して練習して、子どもたちと心を通わせていきます。

最近は、ネットで市販のものを買うこともできますが、やはり保育者が自分でやってみたいものを心をこめて制作した「お手製」のものが一番です。納得のいくものを制作するには、かなり時間もかかります。「学生のうちにたくさん作っておく(貯金しておく)ことが大切」と、先輩保育者からのアドバイスにも書いてありました。

園長先生は、実際に保育園で使ってきたお手製の「ネタ」も見せてくれました。

ちょっとだけ、ご紹介します。

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「これは何かな?」

子どもは、「木」「ソフトクリーム」と楽しそうに答えます。

よく見ると、真ん中の部分、隠れるように折ってあります。

 

ここをひらいたら、「何に、なるかな~?」

真ん中のところを開くと、“変身”します。

何かな何かな、何になるかな?

 

これは、学生たちも正解できませんでした。
想像してみてください。

ヒント:動物です

 

もう少し小さな子ども向けに、わかりやすいものもありました。

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さて、「木」と「ソフトクリーム」は何に“変身”したでしょうか?

正解は・・・・・・・・

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「保育者」である園長先生から学んだこと

今回、園長先生は、わらべ歌やふれあい遊びを実際にやってみせてくれました。また、学生の疑問に、ひとつひとつ丁寧に、学生にもわかりやすい言葉で、ご自身の経験をもとに答えてくれました。

「こんなふうにね」と、お人形の足を持って動かしながら「ふれあい遊び」の歌やわらべ歌をうたいながら実演してくれました。また、薄い布をお人形の目の前でふわ~っと落とし、「こんなこともやってみて。乳児さんは大好きです」。

このことは、「保育者は…」と短大の教員(保育者でない人)が説明するより、映像を見るより、ずっと説得力がありました。

学生のレポートにも「実際の園長先生のお話を聞いて、実際に子どもたちと携わっている先生のうたの歌い方、喋り方、行動や仕草、とても優しく聞いていて楽しかったです」と書かれていました。

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手遊びだけでなく、ふれあい遊びをしたことが、学生には新鮮な経験だったようです。学生の感想の中にも、「ふれあい遊びをすることで、子どもとの信頼関係を構築できることがわかった」という気づきがありました。

保育教材の写真を撮りに保育園に伺ったときお聞きしたのですが、園長先生も驚いたことに、保育園で「ふれあい遊び」を5歳児にやってみたら、とても喜んでいたそうです。「ぽっつんぽつぽつ」は、本来は2歳児くらいを対象としているそうですが、「あまりお家でお母さんと経験していないのかな?」ともおっしゃっていました。

毎日子どもと会う機会がある保育士だからこそ気づけることはたくさんあります。子どもの様子から、保護者や親子関係の状況にも関心を向けていることが印象に残りました。子どもに対してだけでなく保護者にも思いを寄せ、朝や帰りに声かけすることを通して、「何か困っていますか?」「見守っていますよ」というメッセージが伝わっているのではないかと感じました。

(授業担当:澁谷美枝子)

 


●東京立正短期大学では、少人数教育により、多様な問題に対応できるコミュニケーション能力の高い保育者を養成しています。

●2年間に5回ある実習(幼稚園実習①、保育実習Ⅰ、幼稚園実習②、施設実習Ⅰ、保育/施設実習Ⅱ)に参加し、自分の目指す保育者像を明確にしていきます。


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